機能の維持のための体操　その1

　今回はひととおりのリハビリテーションを終えて自宅等に復帰し、身体機能が安定期に入った状態のかたが機能を維持していくための体操について紹介します。(この運動はあくまで一例です。全ての方に適用できるとは限りません。特に腕や下肢の拘縮の強い人や痛みが残っている人には不向きです。各自自分の責任で行ってください)

（１）自己関節可動域体操

　身体の関節の維持・改善を目的とした体操です。手順に沿って各関節を4〜5回ゆっくり伸ばすように動かします。動かしている間は呼吸を止めたりせず、普通に息をしながら動かします。また、ひとりでも出来ますが、何人かでグループになって行うと楽しくできるでしょう。肩・肘・股関節・膝関節などに拘縮があってこれらの姿勢が取れない方は無理をせず、できる範囲で行うか工夫をして似たような動作で代替して行いましょう。

• 腕の突き出し
  →
  指を組み(組めなければ手首を持ち)腕をゆっくり前へ突き出す。出来るだけ肘がまっすぐ伸びるように。
  

• 指を組んで万歳
  →
  指を組み(組めなければ手首を持ち)ゆっくり万歳をする。肩の拘縮がある人は無理をせず挙がるところまで。
  

• 身体をかがめ床へ伸ばす
  →
  指を組み(組めなければ手首を持ち)身体を屈め床へ伸ばす。呼吸が止まりやすいので無理をせず、普通に息をしながら行う。
  

• 首の運動　前後
  →
  首をゆっくり前後に動かす。
  

• 首の運動　左右
  →
  首をゆっくり左右に動かす。(上半身の動きにならないように注意)
  

• 首の運動　回旋
  →
  後ろを振り返るように首をゆっくり左右に捻る。(上半身の動きにならないように注意)
  

• 首をゆっくり回す
  　左図のように首をゆっくり回す。何回かやったら逆向きに行う。
  

• 上半身の運動　肩の上げ下げ
  →
  腕を組み、ゆっくり肩をすぼめ、ゆっくりおろす。(片方の上肢に麻痺がある人はいい方の手で悪い方の肘を支えて持ち上げるとよい)
  

• 上半身の運動　左右に身体を倒す
  →→→
  腕組みをしたまっすぐの姿勢から右に身体を倒す。元に戻って今度は左に倒す。(椅子から身を乗り出すので危ないようなら無理をしないこと!)
  

• 上半身の運動　身体の回旋
  →→→
  腕組みをしたまっすぐの姿勢から上半身を右へ捻る。元に戻って今度は左へ捻る。首の位置は気にせず、腰を捻るようにする。
  

• 下肢の運動　膝抱え
  下肢を曲げ、抱えるようにしてしばらくその姿勢を保つ。椅子の淵にかかとを載せてしまうのでもよい。(下肢の曲がりが悪い人は無理をしないように)
  

• 下肢の運動　膝を曲げる運動
  →
  足を組み、足首を持ってかかとをお腹の方に曲げてくる。(股関節が硬かったり膝の障害がある人は無理をしないように)
  

• 下肢の運動　足首を回す〜足の指を曲げ伸ばしする
  →
  つま先よりの部分を持ち、足首をよく回す。何回か回したら逆向きにも回す。さらに足の指も上下に曲げ伸しする。
  ※これらの下肢の運動は右側なら右側の運動をまとめて行い、一通り終わってから左側の運動というようにするとよいでしょう。
  

• 下肢の運動　まとめ
  →→→
  左右交互に膝をまっすぐピンと張るように足を前にのばす。のばした状態でしばらくそのまま保つように。
  

注意　これらの運動はあくまで関節の動きをよくする目的で行っています。筋力を維持する、日常生活動作の機能を維持するためにはこれだけでは不十分です。普段から横にならない規則正しい生活、自分のことは自分でする生活態度等が大切です。また、今回の体操は安全面を考えて椅子に座って行えるものを選びました。活動度を上げるためには立ち上がりの練習や歩行練習などより活発な運動が必要になります。これらが楽に出来るようになったら、また物足りないと感じる人はさらにステップアップしていろいろな運動に挑戦してみましょう。

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