本日、妻の一周忌だった。馴染みの和尚さんにきていただき拝んでもらい、その後墓参りをして手を合わせてきた。
今でもこの手に残っている感触。それは一年前の告別式の日に出棺前に彼女の頬に触れた指先のなんと冷たかったこと。そうスピッツの「冷たい頬」のように。それでも突然死で辛そうにしていた死に顔が、納棺師さんのおかげで本当に眠るような安らかな顔に変わっていた。それだけで本当に嬉しくほっとしたものだ。
私といえば、この一年、長くつらい毎日だったような気もするし、日々生きることに精一杯だったこともありあっという間だったようにも思う。
少し前の5月の連休にやっと少しずつだが遺品整理を始めて、彼女との出会いから亡くなる直前までの思い出の写真や文章、そして芸術家だった彼女の絵や詩などの作品が出てきて、改めて二人で歩んだ日々と生きてきた軌跡を思う。これだけは子供らにも誰にも立ち入りできない私と妻だけの思い出なんだとまた目頭が熱くなってくる。
本当に今の私は帰る港がなくなってしまった船のようだ。今まではどんなに辛いことがあっても、帰るところがあってそこへ辿り着けば安らぎが手に入った。あの頃は幸せ者だったんだなぁ。失って初めて実感する。
大好きな漫画の中の台詞をアレンジして書いてみた。
思い出の中で大好きな人の笑顔が眼に浮かぶ。
彼女の笑顔は本当に儚く、少しの事ですぐ壊れてしまう。
でも、私は思うんだよね。
私が今まで頑張って来たから彼女の笑顔を守れたんだって。
もうその人はいないけど…。
だから、私は何も持たないで逝くわけじゃないんだ。
いつか私も歩みを止めてひと足先にそこに辿り着いていた妻と合流する。その時に彼女の知らない土産話をたくさんできるように、今は止まってしまった時間を取り戻して前へ進まなくてはね。
